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2025.04.14

【外国人労働者インタビュー】技人国の在留資格で働くフィリピン人工務監督ドミンゴさんのインタビュー

今回は、TDGグループの送出機関TDGHRMから、技術・人文知識・国際業務の在留資格で働いている工務監督のキャプテン・ドミンゴさんにお話を伺いました。
ドミンゴさんが勤務する極東船舶株式会社(Far East Transport Co., Ltd.)は、現在12隻の船舶を管理している会社です。この会社はフィリピン人船員を配乗するほか、日本人およびフィリピン人の工務監督や海務監督による船舶管理、建造監督サービスを提供しています。

工務監督は、海上を航行する船舶を陸上からサポートし、安全で円滑な運航を支える重要な役割を担っております。日常の業務は世界共通で、英語で行われています。

 

フィリピン人工務監督ドミンゴさんのインタビュー

 

本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが簡単な自己紹介としまして、お名前と出身地、ご家族についてお伺いしてもよろしいでしょうか。

 

私はアルドウィン・サント・ドミンゴと申します。生まれはフィリピンのカビテになります。現在45歳で、妻と3人の子供がいます。19歳の長女はシンガポールに留学中で、15歳と10歳の二人の息子は日本で勉強中です。学費工面に支障のないよう、計画的に子供を作ったのですよ。フィリピンではあまりないことかもしれませんね。

 

日本に来るまでのお仕事について教えてください。

 

船員になるための学業を修め2003年に卒業、NYK Fil Ship Management Inc.※に就職しました。訓練生として船に乗り、2015年に船長に昇格するまで海上業務に就いていました。その後、陸上での勤務を希望したことからTDG Ship Managementに移り、そこで工務監督(SI – Superintendent)として2022年まで働きました。本当は2020年に現在所属している極東船舶に入社するために渡日するはずだったのですが、コロナ禍の影響で2年遅れた2022年から勤務することになりました

 

海上勤務と陸上勤務との一番の違いは何ですか。

 

海上での仕事は激務であるだけではなく、家族や社会生活から切り離され大きな犠牲を払わされることになります。家族と一緒に暮らせる陸上での仕事は、より安定した充実した毎日を送れます。陸上勤務を希望した最大の理由はそれでした。子供たちの成長を間近に見られますしね。

 

工務監督としての仕事についてお聞かせ願えますか。

 

船舶を運航させるうえで安全管理システムと国際ルールを確実に順守・履行させることです。それには自分が積み上げてきた船長としての知識と経験が役立っています。

 

 

海運に携わるお仕事を選ばれたのは、なぜでしょうか。

 

私が船員になることを選んだ理由は、家族により良い将来をもたらすことができるからです。端的に高収入です。ただそれには大きな犠牲を伴いますし、順応性が求められます。一つの船には様々な文化的背景を持つ多国籍の乗組員がいます。臨機応変に自分を適応させていかなければなりません。船員を目指す若い人たちに言いたいことがあるとすれば、自分が家族の生計を支える支柱であることを自覚し、常に学び、職務に誠実にあたることです。

 

日本でキャリアを続けることにした理由は何でしょう。

 

新卒で訓練生として船に乗ることになった時から、私は日本の会社に籍を置いてきました。ですから日本で働くことは私の夢でもあったのです。もちろん日本は海事産業の盛んな国として世界的にも知られており、当地で働くことは大きなチャンスでもありました。

 

日本で実際に働いてみた感想をお聞かせ願えますか。

 

日本の職場では、倫理感と規律の高いことに感銘を受けました。日本人は仕事に対して献身的で、時間を厳守し、遵法精神に富んでいます。これが、効率的でプロ意識の高い職場環境を作り出していると思います。

 

日本での生活についてやご家族の様子を教えてください。

 

家族の長として、父親として、毎日の生活が安全であることが一番大切です。日本での生活は清潔ですし、生活の質そのものが高いと言えます。例えば、子供たちは大人の付き添いなしで、安心して通学できます。日本人やフィリピン人の友達もたくさんいて、ここので生活を心から楽しんでいます。

 

日本での生活でお困りのことは何かありますか。

 

言葉の問題につきます。私にとって日本語を学ぶことは大変です。コンビニで買い物する程度なら何とかなりますが、それ以上のコミュニケーションとなると難しいです。住居に近い蒲田で買い物をしているときに、たまたまフィリピン人のスタッフがいて助かったことがあります。

 

休日はどのようにすごしているのでしょう。

 

子供たちはゲームが好きなので、よくラゾーナ川崎に行きます。また、屋外の公園でピクニックをしながら食事を楽しんだりするのも好きです。家族のお気に入りの公園が平和島にあり、とても大きな公園です。
職場の上司のご家族とはプライベートでも親しくさせていただいていて、果物狩りや温泉旅行にご一緒したり、時には夕食を共にしたりしています。

 

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
終始、和やかな雰囲気でご回答いただきました。家長としての責任感を強く持ち、家族をとても大切にしている姿が印象的でした。ご協力に深く感謝いたします。

 

船舶管理会社とは?

 

船舶管理会社とは、船主の委託を受けて船舶の保守管理、船員配乗・雇用管理業務などを行う専門企業です。
船舶管理会社の業務は多岐にわたります。以下に主な業務内容を説明します。

 

1. 安全運航の確保:

 

  • 事故防止:船舶の安全運航を確保するために、事故やトラブルの防止策を講じる。
  • 法令遵守:国際条約や旗国の法令を遵守し、必要な書類や証書の整備を行う。

 

2. 乗組員の管理:

 

  • 配乗と雇用管理:適切な乗組員を確保し、配乗や雇用管理を行う、乗組員の教育や訓練も含まれる。
  • 交代手配:乗組員の交代をスムーズに行い、常に適切な人員配置を維持する。

 

 3. 技術管理:

 

  • メンテナンスと修理:船舶の機械や機関の定期的なメンテナンスや、修理を行う。これには部品の交換や消耗品の補充も含まれる。
  • 整備計画の立案:長期的な整備計画を立て、船舶の堪航性を維持する。

 

  4. コスト管理:

 

  • 効率的な運航:コストを抑えつつ効率的な運航を実現するための管理を行う。
  • 資産管理:船主の資産である船舶を良好な状態に保ち、その価値を維持する。

 

5. その他の業務:

 

  • 保険手配:船舶に必要な保険の手配をする。
  • 物品供給:船舶に必要な船用品や予備部品、潤滑油などの供給を行う。

 

船舶管理会社は、これらの業務を通じて船主の負担を軽減し、船舶の運航効率を高める役割を果たしています。

 

※NYK-Fil Ship Management Inc. (NYK-Fil)
NYK-Fil Ship Management Inc.は、日本郵船(NYK Line)とフィリピンのTransnational Diversified Group (TDG)のパートナーシップから生まれた会社で、1989年に設立されました。NYK-Filは、船員の技術的な能力と安全性を重視し、徹底した訓練プログラムを提供しています。

 

NYK-Filホームページ