2025.04.16
フィリピン人観光客の日本旅行 : 家族旅行、グルメ、ショッピング

4月に入り暖かい陽気になってきました。
行楽シーズンを迎える日本と同様、夏真っ盛りのフィリピンも旅行には最適の季節です。
今回は、フィリピンから日本への観光旅行についてお話します。
TDGグループの旅行会社UHI (UNIVERSAL HOLIDAYS, INC. | ユニバ-サル ホリディズ インク)は創業期から、フィリピンから日本への観光旅行を振興してまいりました。そのなかでも特に人気だったのが、秋田県にある涙を流す聖母像が安置された修道院を訪れる巡礼の旅です。敬虔なカトリック教徒のフィリピンの方々の間で関心が高かったそうです。
UHIは2007年に在比日本大使館から正式に承認を受け、査証申請代行業務も開始しました。業務開始当初の査証申請のほとんどは親族訪問を目的としたものでした。現在は観光査証が9割以上を占めており、この間に日本渡航を目指すフィリピン人たちの内訳は大きく様変わりしたと言えます。空前の日本観光ブームと言われる現在、フィリピン人の日本旅行はどのようなものなのでしょうか。
昨年の訪日フィリピン人数
日本政府観光局(JNTO)のホームページに掲載されている訪日外客数統計によれば、2024年の訪日フィリピン人の数は818,700人(昨年比31.6%増)となっております。東南アジア諸国からはタイに次いで2位の規模です。伸び率も順調で、コロナ禍前の水準を3割程度上回っています。10年さかのぼって2014年の年間累積総数が僅か184,200人であったことを考えると、如何に急激に増えたかがわかります。
国・地域 | Country/Area | 総数 Total | ||
2023年 1月~12月 | 2024年 1月~12月 | 伸率(%) | ||
総数 | Grand Total | 25,066,350 | 36,869,900 | 47.1 |
フィリピン | Philippines | 622,293 | 818,700 | 31.6 |
フィリピン人観光客の日本旅行
家族旅行と日本食の魅力
それではどんな人たちが日本に観光で訪れているのでしょう。
フィリピン人は家族の絆を大切にすることはよく知られていますが、それは旅行にも現れています。3世代揃った大人数で旅行をすることも珍しくありません。ですから、海外旅行がバス一台を借り切る規模になることもあります。「日本訪問がとてもいい思い出になったけれど、息子の一人がバスケ部の試合で一緒に行かれなかったので、前回と同じルートを辿ることにした」という方がいらっしゃいました。家族全員で行動を共にすること、その思い出を大切に思っていることが伺われるエピソードです。最近は若い友人同士の旅行も増加傾向にあり、2人より3人、3人より4人とグループで行動するのも特徴的です。
旅行の大きな楽しみはその土地の料理を食すること。
フィリピンの人たちにとっても同様です。基本的に日本食が大好きという方が多く、日本食ならなんでもたくさん食べていただけるのは日本人として嬉しい限りです。ただいくつか注意しなければいけないこともあります。例えば天ぷらと言えば海老天に限ると言っていいほど好みがはっきりしているので、注文するときに海老が何本か事前に確認しなければなりません。旬野菜の盛り合わせだったりしたら、確実に落胆させてしまいます。白米も大好きなので、ご飯お替り自由ですよというとビックリするほどたくさん食べていただけます。一人が食べる年間のお米平均消費量は日本人の3倍だそうです。
旅館の夕食と言えばその土地自慢の懐石料理が定番ですが、次々に運ばれてくる料理を前に、フィリピン人の誰も手をつけません。なぜかと尋ねるとおかずばっかり出てくるけどご飯が出てくるのを待っているのだというのです。慌てて厨房にお願いして、最後に提供されることになっていたご飯を最初に出してもらうようにお願いしたこともありました。
また一般にお肉類を好まれる方が多く、ホテルの朝食ビュッフェでもサラダや果物には目もくれず、ハム、ソーセージ、コーンビーフのトレイがすぐに空になってしまうということも伺ったことがあります。朝食からお肉を食することが普通のフィリピンならではですね。逆に、訪日旅行中にフィリピン料理を食べたいという人は多くないと思われます。こうした嗜好性を理解しておくと、ご一緒させていただいた時の相手の満足度は上がると思います。
買い物好きのためのツアー時間管理
ツアーを催行していると、交通渋滞や集合時間の遅れなどから、どうしても旅程の変更を余儀なくされることがあります。その際、神社仏閣などの歴史的建造物は飛ばしたとしても、絶対に飛ばしたり短くしたりしてはいけないところがあります。それは、お買い物をするための自由時間です。フィリピン人はお買い物が大好きなので、ギリギリまで商品を選んでいて支払いにかかる時間を考慮していなかったり、他のメンバーの戦利品を見て欲しくなったとお店に逆戻りしたり、決めた時間に全員集合してもらうのは、なかなかのハードルです。ツアーの時間管理はただでさえ難しいのですが、繁華街に散らばっていったフィリピン人観光客をバスに集める苦労は、はかり知れません。しかし全員無事に着席したときの彼らの満足そうな笑顔で報いられることになります。
雪景色と寒さを楽しむ方法
フィリピンは言わずと知れた南国。国外に出ることがなければ、生まれてから老いるまで、ずっと夏が続きます。涼しい気候にあこがれるのは当然の成り行きでしょう。ですから涼しい時期に日本を訪れた方が驚くほど薄着なので、大丈夫ですかと尋ねると「このぴりりとした寒さをエンジョイしているんだよ」と言っていました。もちろん雪が降れば子供のように大喜びです。天使が降ってくるようだと言います。積雪の苦労を知り抜いておられる雪国の方には申し訳ないようですが、降雪の可能性のある時期、地域を含む旅程の時は「積もらなくても、雪が降る所を見せてあげたい」と、予報を観ながら祈ることしきりでした。
SNSと写真好きの国民性
うま味調味料が味の素と呼ばれるように、フィリピンではインターネットそのものをフェイスブックと呼ぶことがあるほどフェイスブックは高い支持を得ています。近年はTikTokユーザーも増えてきているようですが、フェイスブックの利用者数は全国民の75%を占めるとも言われ、生活のあらゆる側面に密接に関わっています。旅行中も、ありとあらゆる瞬間を写真や動画におさめ、世界に向けて発信し続けています。静粛が求められる場所やプライバシーに敏感な方も多くいらっしゃる昨今の事情を鑑み、必要に応じて注意をしてあげなければいけません。
ただフィリピン人の写真好きはSNSが一般的になるはるか昔からのことで、それは国民性と読んでもいいのではないかと思っています。筆者がフィリピンの地方を訪れた際に、学校に通う子供たちにカメラを向けると、それぞれが自分のキメポーズで撮影に応じてくれたものでした。
温泉文化との出会い
世界的にみると、大勢で一緒に入浴する習慣がある国は少ないようです。
フィリピン人にとっても裸で大浴場に入ることは異次元の体験です。脱衣場まで連れて行ったものの、照れて笑いが止まらず、中には入れず仕舞いという若者もいました。一度思い切ってその気持ちよさを体験してもらえれば、きっと考えも変わるだろうにと、こればかりはとても残念に思います。
同じ火山帯に位置していても、南国フィリピンで温泉浴を楽しむ人はほぼ皆無です。
まとめ
日本は国を挙げて観光立国を目指す一方で、地域によっては観光公害も叫ばれるようになりました。フィリピンからの観光客たちがマナーを逸し迷惑をかけたなんて話は、幸いにも耳にしたことがありません。そしてフィリピンに帰国した彼らのほぼ全員が、また日本を訪れたいと思っていただけているという事実はとても誇らしいものです。彼ら外国からの訪問者たちを気持ちよく迎えられる、精神的な余裕とでもいうものを有した日本であり続けたいものです。
執筆者 上村康成 From TDGI東京オフィス
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