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2024.11.08

外国人人材お役立ち情報 日本にいる在留外国人数と特定技能労働者数(2024年6月末)

 

近年、日本における外国人労働者の数は増加傾向にあります。少子高齢化が進む日本社会において、労働力の確保と経済成長の維持には外国人労働者が欠かせない存在となってきました。その中でも、特定技能制度に基づく外国人労働者が日本経済や産業において重要な役割を果たしています。本稿では、2024年6月末時点における日本の在留外国人数の状況と特定技能労働者の現状を詳しく解説します。

 

在留外国人数の概要

 

2024年6月末の在留外国人数は、358万8,956人。前年末比17万7,964人(5.2%)増加し、過去最高を更新しました。2020年、2021年は新型コロナウィルスの感染症拡大防止策として入国制限、渡航規制があり在留外国人は減少しましたが、その2年を除くと増加し続けております。

 

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

https://www.moj.go.jp/isa/

国籍別在留外国人の構成比をみてみると、1位が中国、2位ベトナム、3位韓国、4位フィリピン。2023年6月と比較すると、10位だった台湾が米国を抜き9位になった以外は、順位変更はありません。

 

出入国在留管理庁データより

https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00047.html

 

在留資格別では、永住者が最も多く、次いで、2位技能実習、3位技術・人文知識・国際業務、4位留学、5位家族滞在、6位特定技能と続いています。

 

フィリピン人の在留人数

 

フィリピン人の在留者は日本において4番目に多い国籍です。2024年6月末時点でのフィリピン人の在留者数は約33万人に達しており、その多くが技能実習や特定技能制度に基づき、介護や建設などの分野で活躍しています。特に介護分野での需要が高まっており、フィリピン人はその技能と温和な性格が評価され、日本社会に貢献しています。また、日本とフィリピンの文化的な親和性もあり、フィリピン人のコミュニティは急速に拡大しています。

 

特定技能制度について

 

日本では人手不足が深刻な問題となっております。この問題を解決するため、特定技能制度が2019年に創設されました。専門性や技能を持つ外国人労働者を受入れる制度です。出入国在留管理庁は、2023年(令和5)年6月末現在の「特定技能制度運用状況」を公表しました。

 

特定技能労働者数の推移

 

 

出入国在留管理庁データより

https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

 

在留資格「特定技能」で日本に滞在する外国人は年々増加しており、2024年6月末時点で過去最多の25万1747人。このうち特定技能2号は153人。2023年12月末から5,865人、2.4%増えております。
在留資格変更許可等で特定技能になった人の数は、16万943人で全体の63.9%
1年前の2023年は在留資格変更許可等で特定技能になった人の数は、13万928人で全体(173,101人)の75.6%
上陸時に特定技能の資格を受けて在留した人の割合が11.7%上がってはいるものの、全体の6割以上が在留資格切換えであることがわかります。
在留資格切換えの内訳は、技能実習からの切換え15万8133人、EPA介護福祉士候補者ルート219人、特定技能1号から2号への切換え153人、検定ルート100人、介護福祉士養成施設修了ルート5人、です。

 

特定技能労働者の分野別の割合と増加率

 

出入国在留管理庁データより

https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

 

特定技能労働者の分野別割合をみてみますと、産業別では飲食料品製造業が最多で約7万人です。

 

2023年6月から2024年6月の分野別特定技能1号労働者の増加人数と増加率

 

 

分野

増加人数

増加率

飲食料品製造

16,931人

32%増

工業製品製造業

8,426人

23%増

介護

14,804人

68%増

建設

13,478人

73%増

農業

6,925人

33%

外食業

11,475人

130%増

*工業製品製造業(素形材、産業機械・電気電子情報関連製造業)

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

2023年6月から2024年6月の特定技能1号労働者の増加人数と増加率を見てみると外食130%増、建設73%増、介護68%増と急激な増加が見られます。
特定技能1号の増加率の大きい分野を国籍別で見てみると介護分野はインドネシア、ベトナム、ミャンマー、フィリピンの順に多くなっております。
建設分野は67%がベトナム、次いでフィリピン、インドネシア。
外食業分野では、ベトナム、ミャンマー、インドネシアの順に多くなっております。

 

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

 

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

 

 

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

 

技能実習を特定技能分野別で分けた場合の割合

 

在留資格切り替えで特定技能労働者になった人の1番多いのは、技能実習生からの切り替えです。そこで技能実習を特定技能分野別で分けた場合の割合はどのようになっているのか見てみましょう。

2023年度技能実習計画認定件数の特定技能での分野別割合

 

外国人技能実習機構データを参考にしてTDGIにて作成

https://www.otit.go.jp/

技能実習計画認定件数を特定技能分野別で見た場合、工業製品製造(素形材、産業機械・電気電子情報関連製造業)が36%と1番多いです。次いで建設、飲食料品製造。
2024年10月現在、すべての技能実習の分野が特定技能分野に入っているわけではありません。経済産業省は2024年3月29日、素形材、産業機械・電気電子情報関連製造業を工業製品製造分野と分野名を変更した上で、今まで特定技能分野には入っていなかった繊維業を含む新たな業種、業務区分を追加しました。
技能実習生の外国人が特定技能に在留資格変更し在日することを希望した場合、特定技能分野には入っていなかった分野の技能実習生は、他の分野の特定技能試験をうけ、業種変更をする必要があります。今回新たに追加された分野の実習生は、今後はそのまま分野を変更せずに特定技能で在留することが出来ることとなり、工業製品製造業分野の特定技能労働者が増えることが考えられます。
ただし、特定技能の場合、他の職種の技能試験に受かれば、技能実習2号を終えた外国人は日本語能力試験を免除され職種を変更出来る事から、一概にこの技能実習の分野別グラフと同じ割合で特定技能も増えるとは言いがたく、想定が難しいです。

 

 

特定技能労働者の国籍別の内訳と増加率

 

出入国在留管理庁データより

2023年6月から2024年6月の国籍別特定技能労働者の増加人数と増加率

 

国籍

増加人数

増加率

ベトナム

29,342人

30%増

インドネシア

18,968人

74%増

フィリピン

7,651人

43%増

ミャンマー

11,043人

138%増

中国

4,287人

37%増

カンボジア

1,802人

49%増

ネパール

1,958人

57%増

出入国在留管理庁発表データよりTDGにて作成

特定技能労働者の国籍別内訳をみてみますと、ベトナムが半数を占め、次いでインドネシアとフィリピンが多くなっています。2023年末までは3位が中国でしたが、2024年6月では、ミャンマーが中国を追い抜き3位になっいます。ベトナムは移行組のもとになっている技能実習生のなかで割合が最も高いため、特定技能の受け入れ人数が最も多くなっています。しかし、ベトナムと日本の賃金差が少なってきたことが影響し、2023年6月56.3%の割合であったベトナムは2024年6月は50.4%と全体に占める割合は減少しきています。逆に、インドネシア、ミャンマー、ネパールなどの東南アジアの国々は急増しております。急増している3カ国に共通の特徴は、技能実習からの切換えではなく、試験を受けて特定技能になっている割合が高いことです。インドネシア44298人のうち23601人(53%)、ミャンマー19058人のうち14073人(74%)、ネパール5383人のうち5093人(95%)。

特定技能資格取得のための技能試験・日本語試験の実施や法律整備など環境が整ってくれば、更に増えていくと予測されています。

 

 

特定技能1号分野別の在留フィリピン人

 

出入国在留管理庁データよりTDGにて作成

在留フィリピン人の特定技能1号分野別割合を見てみると、造船4,754人
工業製品製造業(素形材、産業機械・電気電子情報関連製造業)4,484人、介護4,092人、建設3,206人、飲食料2,977人、農業2,845人、外食業1,150人の順になっております。

 

新たに特定技能に追加された分野

 

政府は特定技能1号で就労可能な新しい分野として、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野の追加を2024年3月決定しました。また、政府は2024年度からの5年間での特定技能の受入見込み数を82万人と設定しております。人手不足が深刻な分野では特定技能労働者が必要不可欠です。

 

まとめ

 

日本の高齢化社会の課題に対する一つの解決策として、外国人労働者の受け入れが期待されており、特定技能制度の成功は日本の未来を左右する重要な要素となっています。
フィリピン人をはじめとする外国人労働者の存在が、日本の経済成長や社会の多様性を支える要因として不可欠であることは明らかです。日本政府や企業が引き続き支援と適切な政策を実施することで、外国人労働者が安心して日本で働ける環境が整備され、さらなる経済成長と社会の発展が期待されています。

 

これからもTDGは、フィリピンの優秀な人材と、人材不足でお困りの日本の企業様とを繋ぐ架け橋となり、フィリピン、日本双方の成長と発展を支援致します。

 

過去ブログも是非ご参照ください。

フィリピン人を雇用する際に必要な独特な手続き

フィリピン人を雇用する際の独特なルール PDOSとOEC