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2021.10.05

フィリピンのオリンピックでの歴史と東京2020を振り返って

はじめに

新型コロナウイルスの感染が拡大していた時期の開催に対し、賛否両論があるなか、1年の延期を経て東京オリンピック2020(2021年7月23日から8月8日まで)、東京パラリンピック2020 (2021年8月24日から9月5日まで)、が行われました。

TDGグループの拠点があるフィリピン選手団の主な成績とフィリピンのオリンピックでの歴史について、ご紹介していきます。

 

フィリピンのオリンピックでの歴史

フィリピンは1924年のパリ大会から1980年のモスクワ大会を除いて、夏季オリンピックに参加しています。冬季オリンピックは1972年の札幌大会以降5大会に参加し、パラリンピック大会は1988年のソウル大会から1996年のアトランタ大会を除いて参加しています。
夏季大会においては、パリ大会からリオ大会まで、通算銀メダル3個(ボクシング×2、重量挙げ×1)、銅メダル7個でした。

 

1928年 アムステルダム大会 銅メダル 競泳 テオフィロ イルデフォンソ
1932年 ロサンゼルス大会  銅メダル 競泳 テオフィロ イルデフォンソ
1932年 ロサンゼルス大会  銅メダル 陸上高跳び シメオン トリビオ
1932年 ロサンゼルス大会  銅メダル ボクシング ホセ ヴィリアヌエバ
1936年 ベルリン大会    銅メダル 陸上400mハードル ミゲール ホワイト
1964年 東京大会      銀メダル ボクシング アンソニー ヴィリアヌエバ
1988年 ソウル大会     銅メダル ボクシング レオポルド セランテス
1992年 バルセロナ大会   銅メダル ボクシング ロエル ヴェラスコ
1996年 アトランタ大会   銀メダル ボクシング マンスエト オニョク ヴェラスコ
2016年 リオ大会      銀メダル 重量挙げ ヒディリン ディアス

 

こう見ると、やはりボクシングでのメダルが多いですね。

フィリピンは伝統的にボクシングが強いです。戦前のオリンピック大会以降、1964年の東京大会まで、メダルがありませんでした。

また1964年の東京大会から1988年のソウル大会までの24年間と1996年のアトランタ大会から、リオ大会までの20年間も、メダルを獲得できていませんでした。

テオフィロ イルデフォンソ選手は、フィリピン初めてのメダリストにして、2大会連続のメダル獲得を果たしました。

アンソニー ヴィリアヌエバ選手は、24年後のメダリスト、レオポルド セランテス選手のコーチを務めました。

ロエル ヴェラスコ選手とマンスエト オニョク ヴェラスコ選手は兄弟で、マンスエト オニョク ヴェラスコ選手は、のちにフィリピン芸能界でコメディアン、俳優として活躍し、メダリストの中でもフィリピンの人々の記憶に深く残っているオリンピック選手です。そして、2016年のリオ大会で、フィリピン女性初のメダリストとなり、銀メダルに輝いたヒディリン ディアス選手が、今回の東京オリンピック2020で、見事に優勝、オリンピック初(冬季を含む)の金メダルをフィリピンにもたらしました。

東京オリンピック・パラリンピック2020

今回の東京オリンピック2020では、フィリピンから男子9名、女子10名、あわせて19名の選手が参加しました。種目別で見てみると、
ボクシング が4名、ゴルフが3名、重量挙げ、競泳、陸上2名が各2名、射撃、体操、テコンドー、ボート、柔道、スケートボードが各1名でした。やはりボクシングでの出場選手が一番多いです。東京オリンピック2020で、話題となった選手としては、

エウミル マーシャル選手

男子ミドル級で銅メダルを獲得しました。

カルロ パーラム選手

男子フライ級決勝でイギリスの選手に敗れましたが、銀メダルを獲得しました。

ネスティ ペテシオ選手

女子フェザー級で、日本の入江聖奈選手に敗れ、惜しくも2個目の金メダルとはなりませんでしたが、銀メダルを獲得しました。

笹生 優花選手

日本人・フィリピン人ハーフで、今年全米女子オープンを優勝して話題になりました。フィリピン代表として、より高いメダルを目指しましたが、通算10アンダーの9位に終わりました。
重量挙げ

ヒディリン ディアス選手

何と言っても、フィリピン初の金メダルを獲得し、今回フィリピンにオリンピック旋風を巻き起こした主役です。競技終了直後に感極まり涙する姿と表彰台の一番高い場所でフィリピン国歌をマスク越しに口ずさむ姿に、フィリピン初の金メダルの重さとそれを獲得した喜びが見てとれました。以前フィリピンで勤務したことのある筆者にとって、東京オリンピックでフィリピンの国歌が流れる映像には、胸が熱くなりました。

キヨミ ワタナベ選手 柔道

日本人・フィリピン人ハーフで、女子63キロ級の選手です。残念ながら今回の退会は1回戦で敗れてしまいました。

マルジェリーン ディダル選手 スケートボード

恵まれてはいない環境で育ち、12歳のときに路上で始めたスケートボードで、様々なスケートボード大会に参加するようになり、賞金で両親ときょうだい4人の家計を支えるようになった22歳の選手です。今回上位8人で行われた決勝で、大技での着地に失敗し、足を少し負傷したようで、その後の技が冴えず7位に終わりました。それでも、笑顔を絶やさず、会場全体にお辞儀をして、日本語で感謝を述べる姿に、会場は明るさに包まれました。貧困地域に住む人々に希望を与えた若者として、TIME誌で最も影響のあるティーン25人にも選ばれ、今後も期待される選手です。

まとめ

フィリピンは東京オリンピックで、初めての金メダル1個を含む、4個のメダルを獲得し、これでフィリピンの夏季オリンピックでのメダル総数は、金1,銀5,銅8個となりました。パラリンピックでは競泳2名、陸上2名、テコンドー1名、パワーリフティング1名が参加予定でしたが、新型コロナ感染症の陽性反応がでて、3選手が辞退となってしまいました。東京オリンピックのメダリストたちには、政府や民間企業から、報奨金・報奨品が送られています。

 

金メダリスト ヒディリン ディアス選手

  • 官民合わせて、報奨金合計 56,500,000ペソ 約1億2千4百万
  • 報奨品 土地建物2件、マンション1区画、
  • フィリピン航空会社3社より、
  • 一定回数の無料航空券、
  • 車1台、ガソリン生涯無料、
  • 130万円相当の化粧品等

銀メダリスト カルロ パーラム

  • 官民合わせて、報奨金合計 24,500,000ペソ 約5千4百万
  • 報奨品 土地建物2件、
  • フィリピン航空会社3社より、
  • 一定回数の無料航空券、オートバイ1台

銀メダリスト ネスティ ペテシオ選手

  • 官民合わせて、報奨金合計 24,500,000ペソ 約5千4百万
  • 報奨品 土地建物2件、
  • マンション1区画、
  • フィリピン航空会社3社より、
  • 一定回数の無料航空券、40万円相当の化粧品等

銅メダリスト エウミル マーシャル選手

  • 官民合わせて、報奨金合計 10,800,000ペソ 約2千4百万
  • 報奨品 土地建物1件、
  • フィリピン航空会社3社より、
  • 一定回数の無料航空券

2022年の開催予定の冬季北京オリンピックでは、フィギアスケートで男女2名、スピードスケートで男子1名のフィリピン人選手が、参加を予定しています。冬季オリンピックで、初のメダルとなるか、フィリピンのアスリートたちにも、エールを送っていきたいと思います。

(Philippine Olympic Committee、INQUIRER.netの情報、数値を引用)