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2024.09.25

フィリピン人を雇用する際の独特なルール PDOSとOEC

 

労働力輸出国のフィリピン

 

フィリピンでは、海外に出て働く、海外フィリピン人労働者(OFW)の割合が非常に高く、世界最大の労働力輸出国と言われております。海外フィリピン人労働者からの海外送金額は、国内総生産(GDP)の約1割に相当し、この送金額がフィリピン国内の消費市場を活性化して、フィリピン経済の成長に貢献しております。

 

今回は、海外フィリピン人労働者がフィリピンを出国する時に必要な、PDOS(Pre-Departure Orientation Seminar/出国前オリエンテーションセミナー)、OEC(Overseas Employment Certificate/海外雇用許可証)について詳しくご紹介します。

 

PDOS(出国前オリエンテーションセミナー)

 

海外移住労働者として、自分の国とは全く異なる国に住むことは、これから多くの困難に直面することが予想されます。海外定住の難しさの一つは、いかにしてスムーズに移住先の国に溶け込み、その国の文化、規範、環境、言語、習慣を取り入れることができるかということです。CFO(Commissions on Filipino Overseas/フィリピン海外移住委員会)は、海外で働くためにフィリピンを出国するフィリピン人労働者に対して、文化や言語の調整といった国際移住の課題への準備、移住者の懸念事項への対応、海外永住に関する情報提供を目的としたPDOSと呼ばれる必須セミナーを提供しています。

 

PDOSは、フィリピン人が就労を目的としてフィリピンを出国する際に、受講が義務付けられている出国前オリエンテーションセミナーです。PDOSは、CFOが主催するセミナーです。CFOは、国外にて働くフィリピン人を登録することが義務づけられております。セミナー内容は、OWWA(海外労働者福祉庁)により規定されており、出国前の準備や受入国の文化、規範、環境、言語、慣習に適応するための課題に備え、フィリピン人労働者の懸念に対処し、助けるための情報を提供することを目的としております。

 

出国前オリエンテーションセミナーは無料で受けられます。現在はオンラインにて受講が出来ます。PDOSに参加し、CFOの登録プロセスを完了したフィリピン人労働者には、CFOが発行するCFO海外移住者登録ステッカーが配布されます。この書類は、登録の証明としてパスポートに貼付されます。
日本で働く為に、フィリピンを出国する前にフィリピン出入国管理局にこのCFO海外移住者登録ステッカーを提示する必要があります。

 

OEC(海外雇用証明書)

 

フィリピン人労働者が海外で働くには、OEC(Overseas Employment Certificate)海外雇用証明書をフィリピン国にて取得する必要があります。
OECはフィリピン政府が発行した公式証明書です。OECはフィリピン送出機関を通じて発行の手続きを行います。この手続きは労働者がPDOSを受講した後の手続きとなります。
OECの有効期限は60日で、OEC発行後有効期限内にフィリピン人労働者はフィリピンを出国する必要があります。

 

OECは、フィリピン人労働者が海外で働く際に、フィリピン人の権利と福祉を保護するために、フィリピン雇用庁によって、スキル評価、法的な書類、雇用契約書等の確認など、雇用前要件を確実に受けていることを保障します。

 

ご注意ください

 

日本に既に在留をしている外国人の方を新たに雇用される場合、外国人の方の在留資格を労働が出来る在留資格(技人国、特定技能、介護など)に切換える手続き申請をして雇用します。
企業様が雇用される外国人がフィリピン人の場合、日本での手続き(在留資格変更申請手続き)を行うのにプラスして、フィリピン独自のルールに従い、フィリピン行政庁の手続きをする必要があります。

 

例)フィリピン人Aさんは日本に日本語学校に通うための留学生VISAにて入国し、日本に在留中に、日本語のN4試験と特定技能試験に合格し特定技能労働者になるための資格を得た。その後、B企業に特定技能労働者として雇用された。B企業はフィリピン人労働者を雇用するのは初めてでした。

 

①企業がフィリピン人労働者を雇用することが初めての場合、MWO(移住労働者事務所)ならびにDMW(移住労働者省)へ企業と求人の登録申請をする必要があります。

②企業と求人の登録が終わった後、雇用されているフィリピン人労働者について、フィリピン国内にて、フィリピンの強制保険に加入する必要があります。

③フィリピン人労働者がフィリピンへ一時帰国した時に、PDOSを受講しOECの手続きをします。

 

フィリピン人Aさんは、はじめに日本に入国した時は目的が留学のため、PDOSを受けておらず、OECの取得も完了しておりません。日本国内での在留資格変更のみが終わっている状態でフィリピンに一時帰国した場合、③の手続きをせずに再度、日本に戻ってこようとした場合に、フィリピンを出国する事ができず、日本に戻れなくなります。

 

参考サイト

https://www.gov.ph/

 

その他

 

フィリピン人の労働者を雇用する場合は、他国とは異なりフィリピン独自の手続きが必要です。
手続きの流れについては別ブログでアップしております。是非ご参照ください。

 

ブログ-フィリピン人を雇用する際に必要な独特な手続き