2021.11.04
技能実習 ビルクリーニング職種について
私たちが毎日出勤するオフィスビルや買い物などで足を運ぶ商業施設は、とても清潔に保たれています。
- 目に見えるきれいな外観を保ち、心地よくそうした施設が利用できるのは、ビルクリーニング作業に従事している方々のおかげでと言っても過言ではありません。筆者もそれほど海外に行った経験はありませんが、商業施設などのトイレが日本ほどきれいな国は見たことがありません。
ビルメンテナンスの業務は大きく分けて3つあって、①清掃(ビルクリーニング)②設備管理③施設警備、が三大業務とされています。
その中で、ビルクリーニング業務について、2016年4月に、技能実習2号移行職種に追加されました。
そして2019年3月には、技能実習3号が認定されました。技能実習3号に認定されたことで、最長5年間、日本で実習を行うことができるようになりました。
技能実習生たちの出身国では継続的に経済が発展しており、今後も多くの建物が建設され、ビルメンテナンス業界の成長が見込まれています。そうした中、日本でビルメンテナンス業務の一つであるビルクリーニングの技能と知識を習得することは、母国のビルメンテナンス業界にとって大きな力となるでしょう。
2016年に職種が追加されて以降、ビルクリーニング職種の技能実習生の数は、2017年度157人(新規職種であったため、人数は多くありません。この年に外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行され、技能実習制度が大きく変更されました。)、2018年度3,195人、2019年度5,473人、2020年度3,819人と、新型コロナ感染症のパンデミックの影響で2020年度は減少したものの、順調に受け入れ人数は増加していました。パンデミックが収束すれば、再び増加が見込まれる職種です。世界的に見ても、ホテル、アミューズメント、オフィスなどを複合化した24時間稼働の、メンテナンスに多くの人手を必要とする建物が増加していること、大不況となった場合でも、建物がなくなるわけではないことから、習得した技術、知識はどこでも必要とされるものです。
外国人技能実習機構が定めるビルクリーニング作業の定義は、「ビルクリーニングは、不特定多数の利用者が利用する建築物(注1)の内部を対象に、衛生的環境の保護、美観の維持、安全の確保及び保全の向上を目的として、場所、建材、汚れ等の違いに対し、方法、洗剤及び用具を適切に選択して場所別及び部位別(注2)の清掃作業(注3)を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する作業をいう」とあります。
- (注1)として、ここでいう建築物とは、住宅(戸建て、共同住宅の専有部分等)を除く建築物を言います。マンションなどの共用部分はビルクリーニング対象となります。
- (注2)として、場所別とは、玄関ホール、通路、トイレ、昇降機、専用部等の区分をいい、部位別とは、床、壁面、天井、立体面等の区分をいいます。
- (注3)として清掃作業のうち、日常清掃作業は、毎日1回以上等の頻度で行う作業をいい、定期清掃作業は、年又は月等の単位で定期的に行う作業をいいます。 また、中間清掃作業は、日常と定期清掃作業との間で、汚れの程度に応じて清掃する作業をいい、臨時清掃作業は、契約以外で臨時的あるいは特別に実施する作業をいいます。
わかりやすく言うと、ビルクリーニングの具体的な仕事内容は、ビルの共用部分の清掃が主な仕事です。通路・エントランス・エレベーターホール・エレベーター・エスカレーター・階段・食堂・トイレ・喫煙スペース・駐車場・ごみ集積所などを雑巾やモップ・スポンジなどで綺麗にしていきます。
また、ビルクリーニングには日常清掃の他にも、年に数回の「定期清掃」があります。
定期清掃は年末の大掃除に行われるケースが多く、ワックスがけなどの大掛かりな作業が一般的で、日常清掃よりもスケールが大きいです。話は逸れますが海外では、大掃除と言えば年末ではなく、冬の暖房設備の掃除と、雨季への除菌対策、水仕事や換気のしやすさから、春に大掃除するのが一般的だそうです。
技能実習生たちは実習を通して、以下のことを学びます。
- 〇作業の段取り
- ①器具及び資材の取扱及び整備作業
- ②什器及び備品等の取扱作業
- 〇クリーニング作業
- 資材の使い方を修得するための各種清掃作業の補助
- 〇ベッドメイク作業
- 〇安全衛生作業
ビルクリーニングの技能実習生は、1号から2号移行時(1年目から2年目移行時)、2号から3号移行時(3年目から4年目移行時)、3号修了時に技能検定を受検します。
- 〇第1号技能実習:基礎級の学科試験、実技試験に合格すること
- 〇第2号技能実習:随時3級の実技試験に合格すること
- 〇第3号技能実習:随時2級の実技試験に合格すること
技能実習評価試験は、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が実施しています。
- 試験内容
- 基礎級
- 学科(必須)
- 真偽法25問(60分) ひらがなで分ち書き。 ヘボン式ローマ字も併記。
- 実技(必須)
- 課題1:器具の使い方(20分)
- 課題2:シーツの扱い方(2分)
- *課題2はホテル等の客室清掃作業及び客室整備作業を行う外国人技能実習生のみを対象。
- 随時3級
- 学科(任意)
- 真偽法25問(60分) 日本語(漢字カナ交り表記とし、漢字にはルビ付)
- 実技(必須)
- 課題1:弾性床清掃作業(12分)
- 課題2:ガラス面洗浄作業(8分)
- 課題3:トイレ日常清掃作業(8分)
- 随時2級
- 学科(任意)
- 真偽法25問及び択一法25問(60分)
- 実技(必須)
- 課題1:弾性床ドライ清掃作業(12分)
- 課題2:繊維系床しみ取り作業(8分)
- 課題3:トイレ定期清掃作業(10分)
合格基準
- 学科 基礎級、随時3級においては25問の65%以上にあたる17問以上正解、随時2級においては50問の65%以上にあたる33問以上正解で合格。
- 実技 得点合計が満点の60%以上かつ各課題40%で合格
試験は主に、北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、東京都、愛知県(名古屋市)、三重県(津市)、石川県(金沢市)、富山県(富山市)、福井県(坂井市)大阪府(大阪市)、広島県(広島市)、徳島県(徳島市)、福岡県(福岡市)、沖縄県(那覇市)の13箇所で開催されます。
試験時期は
- 基礎級は第1号技能実習修了の2~3か月前までには受検。
- 随時3級は第2号技能実習修了の2~6か月前までには受検。
- 随時2級は技能実習期間中に受検。
以上、簡単ではありますが技能実習ビルクリーニング職について、お知らせしました。
詳しくは、公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会(技能検定サイト)のホームページをご確認ください。
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(外国人技能実習機構の情報、数値を引用)