2022.03.11
特定技能とは?受け入れ企業 が行うべき内容などの基本情報
在留資格「特定技能」は、人手不足の産業14分野を対象に2019年4月より導入されました 。
外国人人材を企業の即戦力として雇用したい場合に特定技能をどのように活用したらよいのか、特定技能制度の概要と受け入れ企業 が行うべき内容など「特定技能」についての基本を解説いたします。
在留資格 特定技能とは?受け入れ企業 が行うべき内容などの基本情報
<目次>
1.特定技能とは?
2.特定技能と技能実習との違いは?
3.特定技能外国人を雇用する際の注意点
雇用する外国人の基本条件
雇用する外国人のスキル
受け入れ企業の基本条件
4.特定技能外国人との雇用契約の条件
5.受け入れ企業が行う支援サポート内容
6.在留資格認定証明書の申請方法
7.まとめ
1.特定技能とは?
少子高齢化に伴う人材不足から、外国人雇用を促進するための在留資格として特定技能が設立されました。
同じく就労可能な在留資格で、特定技能より前に始まっている技能実習では、労働者搾取の問題が取り上げられています。
特定技能は、技能実習制度での課題や問題点を解消するために、新しい制度条件を設け、人手不足に悩む産業、企業で外国人の受け入れを可能とする制度です。
特定技能「1号」と「2号」
特定技能には「1号」と「2号」があります。
特定技能1号と2号の違いは、受け入れ可能な産業分野、在留期間、日本語能力水準の有無、支援義務の有無 、家族帯同の可否、などがあげられます。
特定技能1号では14産業分野で雇用可能となり各分野別に対応は異なります。
例えば、建設分野では「建設特定技能受入計画」の作成や建設キャリアアップシステムへの登録 、特定技能外国人受入事業実施法人(JAC)への加入など 手続きが他の分野よりも複雑になっています。
特定技能2号では、特に人手不足が深刻な建設と造船・船用工業の2種のみが対象となっていますが、現在、2号の産業分野の拡大が検討されていますので、新情報について注目です。
外国人に求めるスキルについては、特定技能1号で日本語能力N4以上と各分野別の特定技能試験の合格が必要となりますが、技能実習2号からの移行の場合は、日本語能力試験は免除され、かつ技能実習での職種と特定技能での職種が同じ分野である場合は、特定技能試験も免除となります。
特定技能1号で雇用できる産業14分野
特定技能1号 (14分野) | ||||||
介護 | ビルクリーニング | 素形材産業 | 産業機械製造業 | 電気・電子機器製造業 | 建設 | 造船・舶用工業 |
自動車整備 | 航空 | 宿泊 | 農業 | 漁業 | 飲食料品製造業 | 外食業 |
特定技能2号で雇用できる産業2分野
特定技能2号 (2分野) | |
建設 | 造船・舶用工業 |
2.技能実習との違いは?
特定技能制度は、受け入れ企業が外国人を直接雇用できるため、監理団体との契約が義務化されている技能実習制度とは異なります。
特定技能制度では、企業が独自で特定技能外国人人材を受け入れる場合、煩雑な書類や手続き業務が発生します。ただ、そうした特定技能人材を受け入れる際の必須業務 や外国人人材への受け入れサポートなどを行う登録支援機関を活用することもできます。
登録支援機関と監理団体の主な違いは、監理団体の役割は受け入れ企業を監理・指導すること、登録支援機関の役割は受け入れ企業と連携して外国人を支援サポートすることです。
特定技能と技能実習のどちらの制度で外国人を雇用したらよいか?という疑問をお持ちの企業は、まず、受け入れ企業の役割が大きく異なる点と、外国人が従事できる職種や作業内容、外国人の持つスキルの合格水準などが違うことを把握し、自社での外国人雇用条件に適合する在留資格はどちらであるかを判断すると良いでしょう。
外国人のスキルについては、技能実習生は学びながら働くという趣旨であるため実習期間に技能検定試験に合格することが条件となりますが、特定技能は在留資格取得の条件として特定技能試験と日本語能力試験の合格者であることが前提条件となっています。
つまり、特定技能外国人として採用される人材は、従事する業務において一定の技能を習得していることが求められていることになります。
3.特定技能外国人を雇用する際の注意点
特定技能で外国人を雇用する際は、出入国在留管理庁の公表する以下の項目を確認しましょう。
雇用する外国人の基本条件
- ○年齢18才以上
- ○健康であること
- ○パスポート所持者
- ○求職活動で仲介者等に保証金の支払いがないこと
- ○送り出機関への費用は納得の上、支払っていること
- ○生活費用負担は納得の上、支払っていること
- ○14産業分野での規定に従っていること
雇用する外国人のスキル
- ○特定技能1号では、14産業各分野の技能試験合格者であること
○特定技能1号では、日本語能力試験N4以上の合格者であること
○技能実習2号からの移行者は、日本語能力試験は免除、かつ技能実習での職種と特定技能での職種が同じ分野である場合は、技能試験も免除されること
外国人求職者の中から特定技能で雇用する際は、海外の送出機関 からの求人紹介、または在留外国人の中から募集するのが一般的です。
送出機関を通した場合、過去にあった問題としては、仲介業者の不正な保証金の徴収などがあったため、外国人を面接する際には、不正な保証金のやり取りがなかったか確認が必要です。
また、外国人に必要なスキルについては、合格証の他に、実際面接での技能の確認や、会話による日本語能力の見極めを行うと良いでしょう 。
受け入れ企業の基本条件
- ○社会保険加入の義務
○1年以内に同種の労働者を会社理由で離職させていないこと
○外国人失踪者を出さないこと
○5年以内に入管法と労働基準法の違法をしないこと
○外国人雇用活動の作成文書は、雇用契約終了後1年以上保管すること
○外国人が保証金を徴収されている事を知っていながら雇用契約をしていないこと
○外国人から違約金を徴収してはいけないこと
○支援費用は外国人の負担にならないこと
○労働者派遣の場合、派遣会社が特定技能制度に定められた要件に基づいていること
○労災保険加入の義務
○雇用契約の継続が円滑にできること
○報酬は外国人の預金口座振込みにすること
外国人と受け入れ企業は、法令違反によるトラブル回避のために、入管法と労働基準法について双方がしっかり理解しておくことが重要です。
法令違反に対しては外国人と雇用側の両方に、一定の罰則が科せられますので、前もって専門家のアドバイスを受けながら手続きを進めると良いでしょう。
4.特定技能外国人との雇用契約の条件
特定技能で外国人と雇用契約をする場合は、出入国在留管理庁の公表する以下の項目を確認しましょう。
- ○特定技能14産業分野で雇用し、外国人のスキルが従事する業務に合致していること
○日本人社員と同様に、労働基準法に基づいた労働時間を守ること
○報酬は、日本人の同業職の額と同等以上であること
○外国人社員と日本人社員の待遇に差別がないこと
○外国人の一時帰国は休暇扱いとすること
○労働派遣の場合、派遣会社を通して雇用期間が定められていること
○外国人の帰国時のサポートをすること(渡航費の負担も考慮する)
○外国人の健康管理とメンタルサポートを行うこと
外国人雇用でトラブルになりやすい報酬に関しては、外国人が給与明細の見方を知らなかったり、各種社会保険料や税金についての認識がなかったりなど 、理解不足から離職や失踪に繋がるケースもありました。
報酬に関しては在留資格認定証明書の申請書に、日本人と同等以上であることを示す契約書の提示も求められますので、外国人人材がしっかり理解できるように丁寧な説明をしてから申請することが重要です。
5.受け入れ企業が行う支援サポート内容
特定技能の外国人への支援サポートは、出入国在留管理庁の公表する以下の項目を確認しましょう。
- ○支援責任者または担当者を1名選任すること(兼任でも可能)
○支援責任者または担当者は、生活指導者として専門的な経験があること
○支援責任者または担当者は定期的に外国人と面談ができること
○社内環境は、外国人の理解できる言語で業務支援体制がで きていること
○外国人雇用の支援計画の作成と実施ができること
○5年以内に不当な支援計画と実施を行っていないこと
雇用前の外国人へのガイダンスの実施
ガイダンスには、雇用契約、入管法の説明、在留資格の説明のほか、保証金の有無の確認や、入国の方法と入国後の生活支援などについての説明などが含まれます。
ガイダンスは、雇用契約を円滑に締結するためや入国手続きの流れを把握しておくためなど、外国人と受け入れ企業の認識に食い違いが発生しないように、リスク回避の目的で行われます。
雇用後の外国人への対応
おもに以下の項目について支援を行います。
- ○出入国のサポート
○住居の手配
○生活オリエンテーションの実施
○公的手続きへの同行
○日本語学習向上のための学習環境の提供
○相談や苦情の受付窓口を設けること
○日本人とのコミュニケーション向上のためのサポート
○転職する際のサポートを行うこと
○定期的な面談(3ヵ月に1回)や行政機関への報告の義務
外国人が日本での新生活と新しい職場での環境に、いち早くなれるために受け入れ企業は、外国人の生活と仕事の両立を目指して、日本社会のルールなどを指導することが必要です。
また上記の支援業務を受け入れ企業で行うことが難しい場合、登録支援機関へ委託することが可能です。
6.在留資格認定証明書の申請方法
在留資格認定証明書は、外国人が日本入国の際に必要なパスポートとビザ査証と合わせて準備することが必要です。
また在留資格認定証明書は、外国人が海外で日本入国ビザ査証の取得に必要な書類となりますので、特定技能の申請フローに従って順序よく手続きを行うようにしていきましょう。
では、在留資格認定証明書の申請方法について解説いたします。
提出書類
- 1. 在留資格認定証明書の申請書
2. 写真4×3サイズ 1枚
3. 返信用封筒
4. 身分証明書
5. ※必要書類: 外国人、受け入れ企業(所属機関)、産業分野別の書類
※必要書類について
特定技能の在留資格認定証明書の申請では、膨大な書類を提出する必要があります。
書類は内容別に大きく分けて3種類、外国人本人に関わる書類/受け入れ企業(所属機関)に関わる書類/産業分野別に関わる書類になります。
□外国人本人に関わる書類
特定技能外国人の報酬に関する説明書/特定技能雇用契約書など他、計21種類
□受け入れ企業(所属機関)に関わる書類
登録支援機関の登録について8種類/定期、随時届出について29種類
□産業分野に関わる書類
特定産業14分野ごとに書類が異なるため、各産業別に確認が必要です。
また、すべての産業に共通な書類は、外国人の日本語能力試験合格証/特定技能試験合格証/技能実習2号からの移行者に関する証明書等があります。
(↑出入国管理庁ホ-ムペ-ジにてご確認ください)
7.まとめ
以上、特定技能制度について 解説いたしました。
この記事では、特定技能制度の概要を把握し、これから特定技能を活用して外国人を受け入れ検討している事業者の皆様に基本的な内容について紹介いたしました。
各内容では、さらに細かい手続きや、制度の仕組み、外国人雇用におけるリスク回避策やコミュニケーションの方法など、まずは、基本的な制度内容などについて理解しておくことに焦点をしぼって、公的な情報を基に解説いたしました。
特定技能に関します下記ブログも是非参照ください。
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