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2024.10.01

2024年パリ五輪を振り返って

 

パリオリンピック・パラリンピックの全ての競技が終了しました。ここで改めてフィリピン勢の活躍を振り返りたいと思います。

 

フィリピンから見るオリンピック

 

五輪に400人を超す選手団を送り込んだ日本と比べ、フィリピンは22人と少規模ですし、獲得したメダルも金2銅2の4つのみ。世界的にも五輪への関心が高く、テレビ新聞が連日日本人選手の活躍を報じる日本とは異なり、フィリピンにおいてはお世辞にもオリンピックに注目する人が多いとは言えません。

 

一人で金メダル2つ

 

本大会の一番の立役者はなんと言っても、男子としては史上初めての金メダルを2個も持ち帰ったカロイことカルロス・ユーロ選手でしょう。彼は得意の床運動と跳馬種目で文字通り世界の頂点に輝きました。

まだ12歳だった彼はマニラに派遣されていた釘宮宗大コーチに見いだされ、6年間の日本留学経験を経て世界的選手に成長したという、日本とのゆかりのあるアスリートなのです。早い時期から母国で出場する競技大会では無双状態。日本でも親しまれているチョコレートドリンクのミロ(フィリピンではマイロ)のテレビコマーシャルに母子揃って出演するなど、お茶の間でもよく知られた存在でした。

まだその顔に幼さを残した2021年開催の東京五輪では、惜しくもメダルを逃す4位入賞という結果でした。今回はたくましく成長し、世界最高峰の金メダル2つをもたらすという偉業を成し遂げ、フィリピンには珍しい五輪旋風を巻き起こしました。

 

銅メダル2つの女子ボクシング

 

 

体操の他に獲得した銅メダル2つはと言えば、いずれも女子ボクシングでした。連日のように性別騒動が大きく報じられた種目ですが、さすが拳闘史上最強とも称されるマニー・パッキャオを輩出しているフィリピンです。

50キロフライ級女子ではアイラ・ビリェガス選手が、57キロフェザー級ではネスティ・ペテシオ選手がそれぞれ相手国選手を下し、ボクシング強国の存在感をみせつけてくれました。

他には陸上、フェンシング、競泳、ゴルフ、柔道(山梨県育ちの渡辺聖未選手)、ボート、重量挙げ に参戦しましたが、本大会ではフィリピン代表選手が表彰台に上ることはありませんでした。オリンピックよりもさらに関心が低いと言わざるを得ないパラリンピックには、フィリピンは6名のアスリートを送り込みましたが、残念ながら入賞者はおりませんでした。

 

まとめ

 

興行的側面を持つ一部のプロスポーツをのぞけば、本来運動競技にいそしむそのことが金銭的な対価を生むものではありません。仮に才能を秘めた若者たちがスポーツに魅せられ打ち込むことがあっても、誰かがその背中を押してあげなければ決して大きな花を咲かせることはないのです。

特にフィリピンのように大部分の人達が生きていくことに精一杯の国であればなおさらです。彼らオリンピアンの世界的な活躍が、政府や大企業の心を動かし将来のアスリートたち育成のために、更なる資金提供をしていくきっかけになってくれることを願ってやみません。

 

執筆者 上村康成 From TDGI東京オフィス

 

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